2012年ニュルンベルク・トイメッセの全体を通しての雑感として言えることは、ROCOおよびFLEISCHUMANNを除き、総じて大メーカーに元気がない印象を受けました。一番大きなブースを構えているメルクリン・トリックスには例年の様な人々が溢れかえるような賑わいがなかったことが寂しい印象を持ちました。
また、ブラスのメーカーでも、今年で65周年を迎えるFulugurexを除いてMicro-metakit、およびLematecの2社は出展せずに終わりMIBA MESSEの特集号で情報を知るということでした。
それに引き換え A.C.M.E., BRAWA, L.S. Models, Hornby・Gurope, Jagendorfer, Oskar, Kuehn-modell, Tillig Modellbahnen, 等の中間規模のメーカーが大変元気が良く人々も多く詰めかけて活況を呈しています。
一番大きなショックはカタログが有料になったことです。カタログの製作費が高騰していることとコンピューターの発達によって必要な情報はWebサイトから得てほしいということでしょうか。メッセ出展のあり方の変化とカタログの有料化がまさにヨーロッパ経済の一端を表しているように見受けられます。
車両の新製品について見ると、ACMEのSettebello ETR 300やROCOとJagerndorferのRailjetが昨年末までに発売されたことで、大物の新製品は一通り出そろった感があります。このような中で、今年の新製品の動向を見ると、昨年発売されたROCOのE432を皮切りに、FSの三相交流電機や電車が地元のRIVAROSSIやVi-Trainから量産車の製品が相次いでお目見えします。
蒸気機関車の製品は、ACMEのFSGr685、OskarのGr685.3、Gr625、ArtitecのNS3700、更にフランスのREE ModelsのSNCF231Gに見られるように、ボイラー、フレーム、テンダー等がダイキャスト製、キャブが樹脂製、デイテールパーツが金属製といったマルチマテリアルで出来た製品が増えてきました。おそらくは、米国のMTHやBROADWAY LTD.の製品群の手法が欧州の蒸気の製品にも広がってきたのでしょう。
主要なメーカーの新製品の概要は次のようになります。
ETR500の塗り違いバージョンとして昨年発表されたAlta Velocita仕様が5月ごろ発売の予定で、1等1両+2等2両の3両セットを2種類追加し、実物どおりの14両編成が組めるようになる。走らせる場所の確保や牽引する機関車の悩みが増えそうです。
ETR500の運用から引退した初期の機関車E414が2両で在来客車を挟んで運行するEurostar City列車が発表されました。今後、此の機関車を使用したETR500初期型も出てくるものと予想されます。
Settebello ETR300は、昨年のEpIII仕様が大変な人気のため再生産しました。おでこにヘッドライトを追加し200KM/h対応とすべく台車が変更されたEpIV仕様は来年以降の計画だそうです。ドイツものでは、クイックピック食堂車の発売を発表し試作品を展示していました。Ade以来の量産品となります。
シリーズ展開は未定ですが、ミラノ市電各種をイタリア版鉄コレともいえる1:160の無動力デイスプレーで発表していました。
HobbytradeのMr.Pedersenによれば、AdeのMr.Willy Adeは昨年5月に亡くなられたのこと、目下のところお嬢さんが後継者となって再建を考慮中とのことであるが、先行きのことは解らないとの事であった。Mr.Adeのご冥福を心からお祈り申し上げます。
出展しているメーカーのうちでも全くのマイペース路線を貫いている感じがしたユニークな会社です。電気関係のアクセサリーのメーカーというよりも今は立派な車両メーカーといえます。特に今年はOゲージの貨車に注目が集まりました。特に、セメント・サイロ、各種コンテナーはOゲージをやらなくてもコレクターとして1両ぐらい欲しくなります。
今年もう一つ力を入れたものがN ゲージのデイーゼル機関車10BBです。超精密な新規金型を使っての力作でした。Voithの新型"GRAVITA"が各種の鉄道会社仕様で発売されます。
HOゲージは各種ブラバならではのすばらしい出来栄えでした。
ElectrotrenとHornby Group (ARNOLD, JOUEF, RIVAROSSI)
Hornby Groupはエレクトロトレンに吸収されてから製品の質が一段と向上したと思われます。
この合併は成功した事例ではないでしょうか。
Electrotrenに吸収されて成功した例として製品の質が全体的に向上しました。今年の目玉としては、SNCFのX73500,OBB の2050、DBAG152ポルシェ広告の電気、ドイツに接収されてMITOROPA塗装になったワゴン・リの客車等あるが、好みの分かれるところでしょう。
色々な企画が目白押しで、相変わらず楽しいメーカーです。SBBのTEEカラーのRaeはすでに塗装済みのサンプルが展示され、いよいよ年内の発売予定です。DBの同じくTEEのRheingold 1987年仕様は、食堂車とクラブラインゴルトの試作品が展示されていました。発売は年末から来年初頭あたりかと思われます。
DBの120型電機は試作ボディが展示され、120.0、120.1に加え試作車もラインナップ、運転室屋根の形状の異なる005号機を作り分けるとのことです。客車では、SNCFのミストラル56を使用したTEE化以前のLe Mistralが電源車とA8uの試作品が発表されており、Le Mistralのエンブレムは洋白エッチング表現となるようです。
同社の兄弟ブランドEPMから、昨年発表のガスタービン列車RTGは、3D試作ボディが展示されていましたが、製品はいまだ先のことと思われます。 L.S.Modelsからもデジタルコントロラー参入のコンセプトが発表されました。ハンドヘルドコントロラーにブースターを加え、簡単な操作と拡張性を売りにするということです。売価は250ユーロ程度の予定ですが、発売時期は未定です。
創業125周年となる今年は、各種の記念行事や記念製品の発売等が行われます。HOのBR18.5 DRG仕様の記念箱入りデイスプレー台付きは全世界で250セット発売されます。この台にはベアリングが装備され、機関車の走行状態を再現できるほか、サウンド機能も動作できます。高価な品ですが、1セットは出来れば欲しいものです。そのほかHOでは、ICEの最新型Valero Br407の発売が発表されました。製品のお目見えは年末から来年初頭にかけてと思われます。
NゲージではSBBのEwIV 制御客車、T2S寝台車各種、東欧のEC客車各種が発売になります。動力車では完全な新製品としてBLS465, SBB460が発表されました。かつてROCOの製品であったTEE 色のDB 601がフライシュマンに移管されエポックIVで発売されます。
今年はオーストリア鉄道175年に当たり、幾つかの記念製品が企画されています。
製品の照会はカタログに譲るとして、品質、価格、製品企画の総合点をつけるとすれば欧州モデルの中で最も信頼に足るメーカーいえます。SBBのRe4/4の2パンタ仕様が発表され、3D試作ボディが展示されていました。
FSの亀イラスト付きE.444の再生産、DBAG 101060の広告機"連邦警察60周年"等が面白い。NSの犬電車ことPlanT/Vは試作ボディ、オーストリアのテンホイラー109の上回りとテンダーの試作が展示されていました。
HO, TT、HOm、HOe、と各種のモデルを取り扱うTILLIG社は、旧東ドイツ圏のドレスデンの近くSebnitzにあります。ずっと長いことこの会社のメインであるTTゲージがなぜ日本の模型ファンに取り入れられないのか疑問でした。確かに製品構成は旧東ドイツに偏っていましたが、最近では東西の壁を乗り越え、素敵な製品が並ぶようになりました。
昨年来、弊店では12mmのレールを試しに品揃えしたところ結構求めるお客様が増えてまいりました。そこで今年は思い切ってTTゲージの車両を仕入れてみました。これからレイアウトを作ろうという方にも、Nでは小さ過ぎるしHOでは大きすぎるという場合に丁度いい大きさではないでしょうか。そのうちに是非ご来店いただき、現物を見てください。